「男の浮気くらい許せよ」と言われて育った

 

 

永遠の愛、たった1人に捧げる愛なんて、約束できるかなぁ?と思う。長い人生、どんな場所でどんな気持ちになるかなんて分からない。

人は無常である。だから教会で指輪を交わしながら神父さんに誓ったって無駄で、だからこそ、「私のことを常に愛して」「私をずっと一番にして。ずっと。一生。」なんて気の張り方は私にはできないな。

 

 

最近、私がファンであるアーティスト(男性)の不倫が報道された。その件について同じファンの男の子の友達と話した。

 

 

男友達:「見た?文春。ウケるね〜」

Fuki:「見た見た。不倫を叩きすぎる風潮には毎度ゾッとするけど、これで〇〇(アーティスト名)の良い父親像は崩れちゃうのかな?…崩れるか」

男友達:「事実なら普通に崩れると思うよ。まあ、正直妻以外を好きになるのはしょうがない部分はあるとは思うけど、子供の気持ちを思うとね、、、パパがママを差し置いて20歳下の女の子とホテル行ってるって…泣」

Fuki:「それは嫌か。」

男友達:「嫌でしょ。正直、子供がいなければ勝手にしていいと思うけどね。でもまあ奥さんが気の毒。人を悲しませるのはやっぱアカンよ」

Fuki:「……そこ、悲しいかどうかは奥さんが決めることだよ」

男友達:「…」

Fuki:「まあ、今回のことで〇〇のファンを辞めたりはしないよ」

男友達:「そりゃそうだ。素行と作品は別だからね」

Fuki:「こんなこと言うのもあれだけどさ…そもそも私、不倫べつにいいんじゃないか派なんだよね笑 家庭生活をおろそかにしたり、そっちに大量にお金使っちゃわない限り、別にいいんじゃないの?そんなに悪いことかなぁ?」

男友達:「そっちかーい笑……まあ所詮想像だけどさ、自分の結婚相手が知らない男or女とホテルいったことを知って怒らずに『どんな子だった?』と感想聞けるくらいの度量があればセーフだとは思うけどね」

男友達:「でもそこでキレてビンタしたくなったとしても、許される道理はないよ」

Fuki:「…うーん、そう言われると、その場にならなきゃ自分がどんな気持ちになるかは分かんないかも…」

 

 

 

そう、ぜんぜん想像がつかない。それもそのはず、私はその場を経験する前の段階の、前の前のいろーーーんな段階さえまだほとんど経験していない笑 だからこそ、そんな私が「不倫オッケーじゃね?(ボソッ)」と呟くのはかなり見当違いだ。だれもこんな意見聞かなくていい。

 

 

ところで私は祖母に「男の浮気ぐらい許せよ」と言い聞かせられて育ってきた。

 

祖母は20歳で福井県の田舎から祖父と長野県の山奥に駆け落ちしてきた。祖父との喧嘩は絶えず、生活は苦しかったけれど、親の反対を押し切って出てきてしまったものだから、祖母は故郷に帰りたくても帰れなかったという。

 

祖母と、今は亡き祖父。

 

祖母は、私たち三姉妹によく「男の浮気ぐらい許せよ」と話す。その理由を深く追求したことはないけど、とにかくよくそう言っている。私は残念ながらその教えを実際に採用したことはないけど(だれとも付き合ったことがないから笑)、妹は実際に彼氏に「いくら浮気してもいいけど私の友だちとだけはやめて。後腐れが生まれるから」と言い聞かせているらしい。こういうあっけらかんとしているところは実に祖母に似ていると思う。

 

 

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結婚かぁ。お付き合いなぁ。私は祖母の壮絶な結婚生活の話を聞いて育ったから、そもそもそこに対して夢物語は描いていない。

 

「ここ(眉間を指差して)は茶碗投げられたときの傷。ここ(目の下)は障子投げられたときのやつ。」

 

と祖母は自分の顔に描かれた傷の地図をもって、祖父との喧嘩話をよく語る。

 

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祖母:「若い時は私は無抵抗でいるばっかりだった。でもある日、『なんで私はこんな丸腰でいるんだ。なんでこんな思いしなきゃいけないんだ!』って我に返って、掃除機の柄を持って振り回して暴れたんだ。そしたらその日以来おじいちゃんの暴力はおさまった」

 

「みんな、女も反抗する術を持たなきゃだめだよ」

 

 

 

じゃねーよ笑

 

こんなおどろおどろしい話は山ほど聞かされけど、まあ、そんなことばかりじゃなかったとは思う(笑)実際2人はお互いのことを愛していた。祖母は高校生のとき、電車の中で初めて祖父の手に触れた瞬間、全身に電流が走ったという。「ほんとうに電気が走った」と。まあこの話はまた別の機会に…。

 

 

そんな祖母はやっぱり「浮気くらい許せ」と言うのだ。昨今、浮気・不倫がこれでもかというくらいコテンパンに叩かれる風潮に世間はあるけれど、私はそれを見るたびにちょっと不思議な気持ちになる。だから今回のアーティストの不倫騒動について「不倫、そんなに悪いか?」と友達に呟いてみたという話。

 

何が本当に正しいのかは知らない。私はそれについて経験があるわけでもないし、確固たる信念があるわけでもない。世間の「常識」は強い。でも、心の底ではこう思っている、と、このインターネットの片隅に文章を残しておきたくなっただけだ。

 

と、そんなことを思っていたある日、押し入れの中を整理していたら、古いチラシの裏に書かれた祖母の昔の日記が出てきた。こういう、なんでもない紙に何でもメモするのは祖母の癖だ。しかしこんな濃度の文章までさらっと書き残されちゃうと整理している方も困る。読んでひっくり返った。これは世に残す価値があると思ったので公開する(本人の承諾済み)。

 

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平成元年六月二十六日 夜

主婦はテレビを夜はゆっくり見る
コマーシャルの合同に片付けをする
ちょっとその場を離れた時
亭主が帰って来てチャンネルをかえている
戻って来てそれを見付けた時
デレビが何台もあるのになぜ
自分だけの時間を楽しんでいるのに
無神経に勝手に変える

「殺してやりたい」凶暴な感情が
ふき上げる、
なぜ寝床をひいてなぜカーテンをしめる事も
主婦がしなくてはいけないのか
気付いたら人にそれをつげるより
気付いた本人がやればいい、
主婦がやる事としているのが不思議
血管から血をふき出し、大きな声を
はり上げて地団駄を踏んで
接近して来ると思うと嫌悪感で
身震いして拒否の狂気が走る背中に

きっと白けて寝床に引き上げてあきれているだろう
がまんの出事る事と出来ない事がある
我慢の限界という事も

コントロールのきかなくなった老人みたいに
爆発してとまらなくなる事を恐れる
もう大分危険な状況に近づきつつある

夫だからとづかづかと女の
1人のくつろぎの時間の中に入って来ても
許されると考えるのは
女を一個の人間として尊重していないからに
他ならない

台所テレビチャネル権争いによる
殺人事件はいらいら、ストレスが頂実に達した時に起こるべくして起きるのである
意識の中で何度 殺したいと思った事か

子供も夫も食事後は誰にはばかる事なく

自分の自由な時間を持つ

主婦は家族の為に多くの時間を使う

 

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…こんな圧倒的なものを見せられちゃあ、結婚が〜、浮気が〜、と私はもう一言も声が出せないのである。

 

うーん、南無三。

 

 

 

 

 

 

 

 

4件のコメント

おばあちゃんのメモ素晴らしいですね。これは確かに、多くの人に見てもらう必要がありますね。Fukiさんの考察も素晴らしかったですよ。

私も、私が女だとして、男が浮気したら多めに見ることはできそうなのですが、その反対の、女性が浮気するのは、なんか気持ち悪く思っちゃうんですよね(笑)でもやっぱりこれはおかしい。

中村天風は自分より派手に遊んだ人間はいないと言っていて、天風は30後半〜40代、日本銀行の頭取で、結婚していたのですが、芸者を毎晩とっかえひっかえして金をばら撒きまくっていたそうです。それもインドのヨガ修行を終えて悟りを開いた後でも、そうやって遊んでいたそうですね。

が、しかし、「男の浮気がよくて女の浮気がダメというのはおかしい!」と、「姦通罪」の撤廃に尽力したりもしていました。確かに、男の浮気はよくて女の浮気はダメというものおかしな理屈ですもんね。しかし、まだ世には、女の浮気の方がたちが悪いという印象が根付いている感じです。

男からしたら、浮気は、ちょっと豪華な食事にぐらいにしか思っていないものですが、それを許すとなると、女の方も許さなくてはいけなくなる。そうすると、もうガタガタになっていくのはわかりきったことです笑 だから、女性の方だけ我慢できるのであれば、関係は続いていくものかもしれませんが、それもアホな話です笑

はっきりと「大目に見てやりなさい」といえるお婆ちゃんはすごいと思いましたよ。おばあちゃん自身は浮気するのかどうなのかも気になりました。

まぁ、こんなふうにいろいろ考えさせられたというわけです。ありがとうございました!

こんにちは^ ^ 考察という考察はできていませんが笑 経験がないながら、私がかなり信憑を置いているのが生物学的な男女の役割の話で、「オスは『より多く』自分の遺伝子を残すという役割があり、メスは『より良い』遺伝子を『選ぶ』ところに役割がある」とのことです。なにかの本で読みました。この説を採用すると、男の方が浮気するのはしごくまっとうな働きであり、一方、女の方の浮気は「選んでねーじゃねーか」となり、そこに一種の気持ち悪さを感じるのも当然かと思います。
となると>男の浮気はよくて女の浮気はダメというものおかしな理屈ですもんね。
というのは、確かに理屈上はおかしいけれど生物学上正しい感覚だということになります。…のかな?しりませんが笑
浮気についての話をしたら、父もおばあちゃんが浮気をしたのかというのは気になったみたいで、実は昨夜、おばあちゃん本人に聞いてみたところです。その会話はまた追々記事にしたいと思います。

こんにちは。興味深く読ませて頂きました。世間の皆さんは有名人の浮気、不倫大好物ですね。個人的には赤の他人の恋愛事情なんてどうでも良すぎて「知らんがな」以外の言葉は出ませんけど。プロミュージシャンが逆に一般人みたいに品行方正・人に後ろ指さされないような生活送ってて、たくさんの人の心を動かすような曲が書けるの?とかはちょっと思います。ミュージシャンに限らず表現者なんて頭の何処かが良い意味でも悪い意味でも壊れてないと、表現物自体生み出せないんじゃないですかね。ピカソも創造は破壊衝動から始まる(うろ覚えですが)的な言葉残してますね。

お祖母さんのメモ、壮絶ですね^^;怖ええ…
僕たち夫婦も時々そういう話になりますが、一応の決め事として「不倫するならバレないようにやってね」でお互い同意してます。まあ僕も妻も生粋の面倒くさがりなんで多分しませんが。ついでに僕は妻への愛情が今後なくなっても離婚は面倒くさいからしません。妻のほうから言われる可能性もありますが。笑

こんにちは^ ^
>頭の何処かが良い意味でも悪い意味でも壊れてないと、表現物自体生み出せないんじゃないですかね。
言われてみればそうですね。トップアーティストの私生活を庶民レベルに持ってきてつべこべ言う方ことがそもそもナンセンスでしたw 「不倫するならバレないようにやってね」という協定は潔くていいですねぇ。私の祖父と曽祖父は浮気をする人だったのですが、その妻である祖母・曽祖母は浮気をバッチリ知っていたみたいで、その心中をインタビューしたものを今記事に書いていますのでお楽しみに(なんの楽しみだろう)

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