温暖化とか、貧困とか、労働問題、動物愛護の問題や原発のこと。
目を背けてはいけないものから、いちばん目を背けていたのは私でした。
私は温暖化問題に対して危機感を覚えていて、独自に行動しています。
「みなさん、目を背けないで。知ることから始めて、行動しましょう。」
そう呼びかけている私。
しかし、たとえば、「じゃあアフリカの貧困についてはどう思いますか?」なんて聞かれた日には、「それは知らない。そこまで関心を持ち始めるとやりきれない。」って思ってしまうところがありました。
なんというか、正直、「気持ちが重すぎる」。
世界には、色々な問題があることはなんとなく知っている。
でも全部知るとやりきれない。
温暖化に関しては精一杯やるから、そのほかは、目を背けて、とりあえずないことにしていたい。そう心の奥では思ってました。
環境問題に関してでさえも今だに、そのニュースやSNSの情報を見るたびに気が重くなって、チャンネルを変えたくなることがあります。
「知らなければ、こんなに苦しくないのに。」と。
「目をそらしちゃえば、楽になることがたくさんあるのに。」
そう私は、何か問題と向き合うことは、苦しみを受け止めることだと、心のどこかで感じていたんです。
話変わって。
先月、友人に誘われて、『藤原ひろのぶ』さんという方の講演会に行きました。
彼は社会活動家の方で、ギニアやペルー、バングラデシュなどの発展途上国で支援活動を行なっており、現在、日本各地を回って世界で起きている諸問題についての啓発活動も行っています。
「ちょっと、重い内容の話かなあ…。」と思いつつ会場に足を運びました。
その講演会で私は、現地をその目で見てきた彼自身から、世界の問題をたくさん知らさせることになりました。
温暖化問題をはじめ、不法労働、児童の貧困、飢餓や、海の乱獲、いろいろなこと…
世界には、「聞いたことあるよーな」問題がやっぱりちゃんとありました。
そう、私が目を背けてきたものたち。
彼はそれをちゃんと説明して教えてくれました。
お話は全部で1時間半ほど。
…
…で、その講演会を終え、わたしは、気が重くなったと思いますか?
色々な現実背負わされて、絶望したと思いますか?
真逆でした。
わたしは彼に救われました。
彼が教えてくれたのは、紛れもない「希望」でした。
そして「自分の幸せ」と向き合う方法でした。
「はじめまして、藤原ひろのぶです。
ぼくはギニアで氷売ってます。ネパールでヤギ飼ってます。インドネシアで塩作ってます。」
と彼は話始めました。
「ギニアという国を知っています?アフリカの小さな国です。
僕はそこに氷を売る事業をしに行きました。
ギニアに行くと、子どもが物乞いして来るんです。
ぼくはこの時、『かわいそう』、とかじゃなくて単純に、『なんでこんなことが起きるんだろう?』って思ったんです。
辿って行ったら僕でした。ここにいる皆さんも関係しています。いきなりの
いきなりの警告に、会場がしんと静まりかえりました。
「僕らはどこかで、『どこかに悪者がいる』って問題を放置してしまいます。
でもそれを続けていると、最終的に子どもの未来潰します。
今日、皆さんに強要する気はありません。
人のことコントロールできるとも思っていません。
そして『答え』なんてありません。
しかし、世の中で起こっている問題が僕たちと『繋がっている』と知ってほしいんです。」
世界には問題があるということは知ってたけど、繋がってる、ってことはあまり意識してませんでした。
ひろのぶさんは、世界各地で起こっている貧困は、実は私たちの買い物、特に「食卓」と密接に関わっていると教えてくれました。
「たとえば、コーヒー豆。日本で、1kgのコーヒー豆で、だいたい2万7000円の売り上げが出ています。じゃあ1kgのコーヒー豆をエチオピアの農家からいくらで買っているかというと…8円です。そして働いている彼らは貧困状態。
そして日本の「ファストファッション」と言われる安価な服を作っているバングラデシュの縫製工場では、働いている人の時給17円、月給にして7000円。彼らは、そのお金で家賃を払ってお米25kg買ったら、もう手元には何も残らない。彼らは貧困状態。
そしてこうやって作られた服を日本は年間36億輸入していて、その年のうちになんと、31億着捨てています。」
こういう問題が、なぜ起きるか。
ひろのぶさんは、それは一概に、
世界が「お金」で動いているせいだと教えてくれました。
お金で説明のつくものは、エネルギーや資源、人の命でさえ二の次にされているという現状。
不当な労働、命やエネルギーをないがしろにした食糧生産・廃棄、電力・石油をはじめとした過剰なエネルギー消費。すべて「お金」が回ることを目的に、モノを作っては捨て、作っては壊し…
「人間は、お金を追いかけて、作らなくてもいいもの作って、本当に壊しちゃいけないものを壊してきました。
それが、地球です。」
と、彼は言いました。
「気候危機という言葉は、みなさん聞いたことがありますよね?
人類が存続できなくなるような気候の変化
が起きていて、あと10年以内に抜本的な改革をしなければならないと言われています。
特に、国連のメディア、BBSは『10年以内』でなく『今年中』だと言っています。
日本学術会議といって、日本の科学者が集結して政府に提案する組織があるんですが、彼らが昨年、『温暖化対策に関する緊急メッセージ』を政府に提出しました。
日本で一番勉強している人たちが、「緊急事態だ」と言っているんです。
原文PDFはこちらより↓
https://ifi.u-tokyo.ac.jp/unit-news/4729/
ボクら、体感じゃなかなか変化が分からないけど、この暖冬、確かにおかしいでしょ。
夏の水不足はほぼ確実です。
オーストラリアでも今、大変なことが起きています。」
みんながちょっと気付いていて、でも口にしてなかったコトバ。
“たしかにおかしい”
“大変なことが起きている”
それをストレートに突きつけられたようで、正直、どきっとしてしまいました。
それは、分かっているけど、言葉にするのが怖かったコト。
「温暖化も、どこかで誰か悪いヤツが引き起こしてるって考えてません?大企業のせいだ、もっとco2出している国もある…って。
でも、日本のco2排出量は世界第5位です。一人当たりの排出量でいうと中国より多い。地球温暖化。そう、これ、『ボクら』が作り出してるんです。
…ボクら、めちゃくちゃ『当事者』なワケです。
こういう問題に気付いて、声を上げる大人が増えないと、この問題は解決されません。
なのに、こんなに大切なことなのに、どうして目がいかないかと言うと、やっぱりみんな、目の前の生活やお金に引っ張り回されてるから。」
お金のせいで大切なものが見えなくなっている、そのことにひろのぶさんは繰り返し警鐘を鳴らしました。
私自身、日頃思っています。温暖化問題は、「命」の話だと。
年々暑くなる夏。酷くなる台風被害。地球の裏側でも、海沿いの街がどんどん沈んでいて、オーストラリアでは十何億の野生動物が死にました。
なのに日本政府は「安価」と「安定供給」を理由に火力発電から今だに脱却できません。
「生活スタイルを変えるなんて無理」と、今日も私の周りで交通渋滞が起きています。
この国のペットボトルのリサイクル率は20%。リサイクルは効率が悪いから。
この星のあらゆる「命」が脅かされていると知りながら、何かを言い訳に変化が阻まれています。
ひろのぶさんのお話を聞いてはっとしました。
その「言い訳」とは、たぶん「お金」です。
私たちの生きる消費社会。ここでは、「お金」が一番の優先事項となっています。
消費。消費。お金。お金。経済効果、経済成長。
お金と命。
本当は比べちゃいけないはずのものが、今の世界では至る所で前者が優先されていることを、彼の話から知りました。
それは、一概に「温暖化問題」とは無関係に思われる問題にも。
(ひろのぶさん)
「世界で飢餓状態と言われている10億人のために世界中から集められる食事の量は320万トン。一方で、日本の食糧廃棄量は、年間1,900万トン。命よりお金を優先している結果です。世界の海の84%で乱獲が確認されています。
これはつまり、1匹の魚を捕まえるのに5匹余分に捕まえて、殺して捨ているとこうこと。こっちの方が効率がいいから。命よりお金です。
日本で、1kgでだいたい2万7000円の売り上げが出るコーヒー豆を、エチオピアの農家から8円で買ってて、現地の人は貧困状態。ここでも命よりお金が優先されています。
縫製工場がたくさんあるバングラデシュで、低賃金のため労働者は生活に苦しんでいて、そうやって作られた服を日本はバンバン輸入してバンバン捨てている。結果ボクたちの周りはゴミだらけ。
全て命よりお金を優先している結果です。
でもね…ちょっとだけ考えてみてください。
誰が幸せになってます?」
はっ。と、
息が止まりそうでした。
何がどうなっているのだろう。
なにがほんとに大切なんだろう。
(ひろのぶさん)
「僕は『社会貢献がしたかったらまずお金を稼いでから言え』と、よく人に言われてきました。でもね、たとえば井上さんという、福島で被爆した子供達のケアをボランティアでやっている方がいるんですけど、ボランティアだから彼女たちの報酬は無いです。
一方、原発のネジ作っている会社の社長さんは大金持ちです。
僕はこないだ財布落としました。叩かれました。『落とした金ぜんぶ、現地の子供らにやれば良かっただろう。お前の危機管理能力どうなってんだ』と。
よく分からない叩かれ方された(笑)
だけど、現地で自然環境破壊している人、億万長者です。
ねえ、これっておかしくないですか?
そう、ぼくらの価値観が完全に狂っているんです。
本質的に何が大切なのかが分からなくなっている。
大切なものが分からない。何がしたいか分からない。見失っているから、対価として何かくれたらいい。欲求を満たすものばかりを求めて、余ったお金で社会貢献したらいい。その感覚になってしまっているんです。」
個人的なハナシ…私はずっと、「何かがおかしい」って感じて生きて来ました。それは一概に、人生を、なにかをこなすための時間のように感じていたんです。誰かにテストされているような気がして、自分の人生に点数がつくような気がしてました。
いい大学に入るとか、いい仕事に就くとか、でやっぱり大人になってもこなさなきゃいけないことは山ほどあって、生活費を稼がなきゃいけない、物を買わなきゃいけない。車を買わなきゃいけない、裕福な暮らし、あるいは少なくとも「中の上」くらいを目指さなきゃいけない。
なにかがおかしい。
時間がない。
ゆとりがない。
やらなきゃいけないことが多すぎる。
ならなきゃいけないものがありすぎる。
お金をあくせく稼ぐ傍ら、食べ物やモノはどんどん捨てられてるし、家の中はモノで溢れているし、なのにおんなじ世界に、貧しい人がどこかに必ずいるし。
でもその「何かがおかしい」
「何かがくるしい」には
ちゃんと理由があると、ひろのぶさんは教えてくれた気がしました。
「本当に大切なものを失っている結果だ」と。
そして世界で起きている問題もすべて、
ちゃんと、「ボクらと繋がっている」と。
それが、わたしにとって「希望」だったんです。
ああ、すべて繋がっているんだ。
ならば「本当に大切なもの」のために生きることは、地球の裏側で苦しんでいる人を助ける、だけじゃない、私たちが「幸せであること」にも繋がっているんだ。
きっと誰もがずっと「変だなあ」と思っていて、ある時には目を背けすらしたくなる、「違和感」「不条理」。誰かが言うところの、「世界なんて美しいものばかりじゃないさ。」ってヤツ…。それにはちゃんと理由があって、私たちとちゃんと繋がっている。
私たち、ほんとうに大切なものはなんだっけ。
この問いを考え、みんなで答えを見つけていくことが、人類を貧困から、気候危機から、生きることの虚無感から救い出してくれる、一番大切な問いなのだと、ひろのぶさんのお話を聞いて強く感じさせられました。
ならば、世界で起きている問題と向き合うことは、自分を否定したり、誰かの苦しさを背負うことなんかじゃない。
「自分の幸せ」を取り戻すことなんだ。
そう思いました。
(ひろのぶさん)
「カエデくんという、大阪で一緒に気候マーチに参加して、懇親会でとなりに座ってくれた小学生の男の子がいました。彼はボクにこう言うんです。」
「…ね、彼らの方がよっぽど優先順位分かってます。
僕らも分かってるんです。分かっている。けれどもまだ何かを守ってる。それはお金なのか地位なのか、立場なのか。。
天秤の向こうにあるものは何だ。
僕はその一つは、『自分の体裁』だとも思ってます。
『自分がこう言ったらヘンかな、嫌われないかな、恥ずかしくないかな。』
でも一番恥ずかしいのは、まだいろんなこと『選べない』子どもたちの未来を『選べる』大人が奪っているということ。
これはものすごい恥ずかしいことです。
社会問題を作っている上流にある政府、そこでものを決めている人たちを決めているのはボクらですね。しかしこの国の投票率は約50パーセント。半分の大人が、未来を決めることを放棄しているというのが現状です。
ちょっとでも意識を変えて行動する大人が増えないと。こういう問題は解決されませんね。
だから、自分の家族や命…。ほんとうに大切なものを守りたいなら、大きな問題に目を向けて日々の選択をしないと、守れないんです。」
「これらの問題になぜ気が付かなかった?知識が足りなかった?情報が足りなかった?よく考えたんです。ボクに足りなかったのは『思いやり』でした。
そしてそれをちょっと示すだけの勇気。
それだけです。ですからみなさん、なんども言います、ほんとうに大切なものを守りたいなら、無関心をやめて日々の選択をしていってください。」
「無関心をやめる」こと。
人間の持ち得る「当たり前の思いやり」を持つこと。あ、そっか。
社会の問題の解決策は、科学の発展や政治の仕組みの変化を待つことじゃないんだ。
人間社会に起きる問題、「お金」とか「しょうがない」「どうしようもない」に隠されてしまう全ての問題は結局、私たちの「こころ」の話なんだ。
繋がっている。
あなたのその、小さな心の震えや一つ一つの選択は、ぜんぶ世界と繋がっています。
ちょっとの「思いやり」を持つこと。
自分の「大切なもの」のために動くこと。
世界が繋がっているからこそ、それを持つだけで世界なんて簡単に変えることができるんだ。このことを知れて、わたしはほんとに救われました。講演会行って良かった、ほんとに良かったです。
この記事で紹介したことの他にも、ひろのぶさんはここに書ききれない、もっともっとたくさんのことを教えてくれました。
・お金の発行の仕組み
・日本人の弱点
・メディアの情報がどのようにして歪み得るかということ
・「悪者」を仕立て上げる恐ろしさ
・日本の児童の貧困
・「仕事」とは?
・「カッコイイ」大人とは?
などなど…
すべてメッセージは、彼の実体験から語られるもので、それは押しつけがましくもなく、絶望的でもなく、ただ、心動かされざるを得ませんでした。 そして生で聞くとやはり違います。
彼の「熱量」が直に伝わってくるようで、胸が熱くなるのを確かに感じました。
みなさんも、お近くで彼の講演会が開かれることがあったら、ぜひ!というか絶対絶対!行ってみてください(^ ^)すっごくおススメです。ひろのぶさんの著書もあります!興味のある方は是非^_^
ぼくらの地球の治し方 [ 藤原ひろのぶ ] 価格:1430円(税込、送料無料) (2020/2/14時点)楽天で購入 |
買いものは投票なんだ [ ほう(法生) ] 価格:1320円(税込、送料無料) (2020/2/14時点)楽天で購入 |
そして、ひろのぶさんの言う「選択」とは何か?
そのヒントは、彼自身の書いているブログから、色々なことが得られると思います。
知らなかった、というか「考えもしなかった」ことなんかが書かれていて、新しい「選択の仕方」を教えてくれます。
おススメです↓^ ^
そして私事ですが…
私は個人的に、「地球を守るために私たちができること」を11箇条にまとめてイラストを書きました。この「11のアクション」には、究極大切で、実質的かつ私たちが間違いなくできることを簡潔にまとめられています。
そしてこれらは、ひろのぶさんの言うところの「選択」の、間違いなく一例だと思います。あなたもぜひ実践してみてください↓
※イラストの無断コピー大歓迎です!
共感してくださったら、イラストやこの記事を、あなたのSNSでぜひシェアしてみてください。
環境問題に関しての知識の量や、自分で満足のいく行動ができているかに関わらず、その問題に触れ、少しの発言をすることが、社会の空気を変えるためにとても意味があることだと思うんです。
あなたの想いを、あなたの言葉を、ぜひ、大切なもののために、大切なものを守るために、世界に発信してください。それは別に、「意識の高い」ことなんかじゃありません。
恥ずかしいことじゃありません。
変なことなんかじゃありません。
ほんのちょっとの「思いやり」で、「愛」の種を、ほんのちょっと世界に撒くことです。
少しずつ、愛のある波を、みんなで一緒に広げていきましょう^_^
よりよい未来に辿り着くために。
*・゜゚・*:.。..。.:*・’・*:.。. .。.:*・゜゚・*
最後まで読んでくれてありがとうございました!
またブログに遊びに来て下さい。
最後に、私の好きな歌の歌詞より。
*・゜゚・*:.。..。.:*・’・*:.。. .。.:*・゜゚・*
人々は言う 分かっていると
そんな当たり前な事は知ってると
でも知ってる事を 分かってるなら
そんな顔にはならないんじゃない
−SEKAINO OWARI
『すべてが壊れた夜に』
*・゜゚・*:.。..。.:*・’・*:.。. .。.:*・゜゚・*
コメントを残す