漫画を描くということ

 

私はnoteというコンテンツでエッセイ漫画を描いています。

 

▼コチラから

 

↑【第2話】フツーな私は就活をやめた より

 

 

就活期から、就活をやめ、ニート・フリーター期間を経、最終、ヨーロッパ に旅に出るまでの私の体験を描いたこのシリーズ。ようやく第9話までたどり着いたはいいものの、これが7月に前話を投稿して以来新しいのが未だ完成していない。

描いても描いても進まない。毎日ちょっとずつ時間かけてるつもりだが…いや、正直いうと一回もiPadを開かずに終わる日がたまにある。なぜか。

 

怖い。終わらないのが怖いのだ。何か問題にぶつかって描き直すことになるのが怖い。落ち込むのが怖い。そして自分の実力を知るのが怖いのだ。

 

 

作家の川上未映子氏はこう言っていた。

「私は執筆前、パソコンのフォルダを開くまでがものすご〜く長いです。一度開いちゃえばしょうがないから書くんですけど。書く前がいつも臆病。それは、『今日もまた破れ去るだろう』みたいな予感がいつもあるから。」

 

漫画を描くことが楽しいかと聞かれると、楽しくないです。うまく描けないから苦しい・苦しい・苦しいし、しかも漫画を書いている最中、私はずっと「面倒くさい、面倒くさい」と思いながら描いています。とにかく面倒くさい。

 

下書きもめんどくさいし線描きもめんどくさいし、背景描くのなんて地獄だし、セリフ入れるのもめんどくさい。そして漫画を描くのはむずかしい、と思ってる割に、漫画を描くというのは圧倒的に「作業」が多いので、頭の中は暇な時間が長ーいです。だからずっと「あーむずかしい暇だなぁめんどくさいなぁ」と思っています。私が漫画を描いているとき部屋の中には悪い波長が飛び交っています。

楽し、くはないですやっぱり。

そしてそんなに頑張って描いて、何十時間もかけて描いて、なのにできあがったものは世界のゴミにもならないほどのゴミみたいなので、恥ずかしくてnoteにさえ上げられない、描き終わって自分で読んでも「なにが言いたいんだ」と思うようなものを、雑誌社に投稿してみてまた「なにが言いたいのか分からない」と評価されてしまう。そんな漫画を仕上げて、「これは何も産んでない。描くためのエネルギーを宇宙に放出しただけだ。」と逆に遥かな気持ちになるような、そんなのを描いています。その繰り返しです。

 

しかし、その苦しい時間の中に、たまに、一瞬、ものすごい喜びというか、すごく、大切で愛すべきものに触れてる瞬間が、訪れることがあって、これが辞められない理由です。すべての無意味さや疲労が帳消しになる、それはすてきな瞬間です。

 

その瞬間に触れるのは人によって方法が違うと思いますが、人はそのために生きたっていいと思います。たとえそれがお金にならなくったって、他人にとって意味がなくったって。

 

 

 

漫画の話に戻ると、私は漫画をつくるときに最初にメッセージがあってそれを形にしているつもりですが、頭の中で形にして、それをセリフに変えてストーリーに載せて、絵を描くと、完成してから不思議、そのメッセージがそっくりそのまま無くなってる時があります。技量不足でしかないけど「あれ、何が描きたかったんだっけ?」と意味の分からない空白に投げ出されます。

そうなってしまった作品の一つにたとえば『ハミングバード』という作品があって、出来上がってから「なんじゃこりゃ。ここから何かを受け取れる人がいるのか?」と思いました。案の定読者のスキの数も少なく、失敗作だけどまあ無料だしいいや、noteに載せてあります。

 

『ハミングバード』

 

出来上がった瞬間、「なにこれ?(・Д・)」

何が描きたかったんだ。ああ無駄だな、これは誰の心の震えも作らない。と思いながら投稿しました。

 

 

しかし先日、この作品について、インスタグラムで繋がっているお友達、カホさん(仮名)からメッセージいただきました。

 

私個人的に亡くなった霊?が1人暮らしの男の子に寄り添ってる漫画、すごい好きなの。あれ見たら幽霊だとか怖く思えなくなるし、純粋に、女の子の恋心が可愛くてキュンってしたし、ああ確かに死って、肉体が伴わないだけなんだなぁとか、死を冷静に考えられるようになったり。生が絶対に思いがちだけど、私たちには見えない世界も存在してるよなぁとか色々考えさせられた。

 

えーーーー。なるほど。

あそこから何かを受け取れるなんてすごいなぁ。もはや、それは私のメッセージじゃない。決して私の感性じゃない。それはカホさんの感性だ。

 

 

 

ああ、メッセージは作品にあるんじゃなくて、読む人の心の中にあるんだな、と思った。

 

 

 

 

 

2件のコメント

ふきさん!こんにちは!
いつもnoteやブログを拝見させていただいている、daiと申します。

このブログ記事を読んで、とても救われた気持ちになりました。というのも、ぼくは現在、やりたいことに向かって行動している途中なのですが、やりたいことのはずなのに、めんどくさかったり、やりたくないという気持ちが生まれて、こんな気持ちになるならやりたいことではないんじゃないか?と思って悩んでいました。

しかし、漫画が好きなfukiさんもそのような感情を持っていたことを知って、安心したというか、救われました。ありがとうございます。   

また、noteの漫画にとても救われました。僕は新卒を半年間でやめたのですが、これからどう生きていこうかと悩んでいた時にfukiさんが、自分らしく、そして、マイノリティーな生き方をしている姿を見て勇気と希望をもらいました。自分も今フリーターなので、他人と比較することはないですが、やはりこのままでいいのかと思ってしまう時もあります。でも、fukiさんが自分らしく生きている姿を見るだけで自分は活力になっているので、落ち込むこともあると思いますが、こちらにはしっかりと伝わっていますよ!これからも応援しています!ぼくもがんばります。

daiさんこんにちは!
好きなことなのに辛い、めんどくさい、のは私もずーっと思ってきました(^_^;)
まあそれを言葉にして肯定したら何か楽になるかな、と。daiさんを元気付けられたのなら嬉しいです!
メッセージをありがとうございました!私も元気をもらいました。お互いがんばっていきましょう^ ^

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