「あっ、異常だ。」と思った日のこと。車への怒り。

 

 

昔の人は、夜暗くなってから外を活動的に移動するということはなかったことと存じます。夜道は暗いだろうし、夜は普通、家にいるものだ。夕食を作り、食べて、寝る準備をするものだ。人間にとって夜とは、本来合理的に考えてそういう時間です。なぜなら夜だから。

 

今日のかえりみち18:30。この景色を目にした。

 

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これはいつもの風景で、すごい車の数だな、といつも思います。しかし今日に限って「あっ、これは異常だ。」という考えが、強い確信と共にやってきました。

 

こんな夜に!ライトを付けなければ活動することがままならないこの時間帯に。太陽が裏側に行ってしまっているというのに!なにこの活動人口の多さ。あっ、これは、異常なことなんだ。

 

ともかく、それだけみんな急いでどこかに行く必要があるということなんですけど、でもそもそも、みんな何をそんなに、どこかに行かなきゃ行けない用事があるんだろう??

 

私がいつも何度でも思うのは、「現代人はなんでこんなに忙しいのだろう」ということです。

 

昔の人が釜戸を見ていなければいけなかったあの時間は、スイッチ一つでお米が炊ける現代において、どこに行ったんだろう?昔の人が歩いて行かなきゃいけなかったあの道のりを、車で移動できるようになって短縮された時間はどこに行ったの?

 

人間が生物として命を温存させるために「やらなきゃいけないこと」は古代から変わらないはずで、その作業の多くが今や機械や道具がやってくれているのに、なぜみんなこんなに忙しい?なぜみんなこんなに「やらなきゃいけないこと」ばかり?

 

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思うに、こんなことを言ったらあれだけど…実はみんなが思ってることだと思うけど…世の中にはやらなくてもいい仕事がたくさんあるんだと思う。「ひどい!すべての仕事が誰かの役に立ってて、社会をよくしているんだ!」と言われるかもしれないけど、じゃあスイッチ一つでお米が炊けるこの世界で夜7時まで車の行列が並ぶ、この状況をどう説明できる?

 

 

思い出すのは3年前。大学4年生であった私はその日、卒論のための現地調査からの帰り、教授の運転する車の助手席に座っていた。時刻は午後6時。多くの工場が立ち並ぶ産業通りを通ると、仕事帰りのすごい数の車が渋滞をなしていて、車はびくとも進めなかった。

 

「これはおかしい。うっわこの渋滞、この数の車…!これぜんぶ、働きに行って帰って来る人たちの列ですよね?こんなことまでして遠くに働きに出る必要あります?そしてこの人たちが渋滞に巻き込まれながら働きに行ってそこで何をしてるかというと、誰かの車を作ってたりするんですよね。…社会というのはとても変だ。とっても変だ…!!」

 

すると教授はこう言った。

「うん、そういう気持ちをいつまでも忘れないでいてください。」

 

はい私は今でも忘れていません先生。でもどうすればいいのか分からないんです。

 

 

最近、自宅から3キロほど離れた、大資本に浸食された大通り(すき家やニトリ、マックと言った大企業系店舗がずらっと並ぶ、田舎によくあるああいう通りです)を通ったら、マツダの大きな販売店が新築されていた。そしてそこにずらっと車を買いに来た人たちの車が列をなしていた。

 

「うげっ。なんだあれ!あの人たち、車に乗って列作って、そんで車買いに来てるわけ?超〜変なの!!」

 

私がそう叫ぶと横にいたお父さんに

 

「そりゃそうだろ。だれが自転車乗って車買いに来るんだよ笑」

 

としごく真っ当なツッコミをされた。

 

 

 

ともかく、今の社会では、こういうことが延々と繰り返されているんだ。それは、車を買うために車に乗って来て、車を作るために車に乗って出勤するというようなことです。これはあくまで自動車業界を例に見ただけであって、色んな業界が実はこういうジレンマのもとになりたってるんじゃないかなと思ったりもします。まあ今の社会ではどんな方法であれお金は「回さ」なきゃいけないからね。

 

でもこういうこと、みんなせーのでやめたら、少なくとも夜7時にあれだけの渋滞が起きることはないんじゃないかな、と思う。で夕方ゆっくり自炊するだけの時間はそれぞれに生まれると思う。

 

あの夜私は、渋滞の車のライトの列を見て「ああこの社会は異常だ。」とはっきりと判断した。この視点が正常となる世界線は、果たしてこの地球に存在するのでしょーか。なむ。

 

 

 

2件のコメント

小学5年生くらいから見た視界がまだ続いているようですね。羨ましい限りです。ちびまる子ちゃんのまるこが家族にうんちく披露してる姿が浮かびました。

小学5年生のころなんて何も考えてなかったから、小学5年生の視界がやっと今になってやって来たのかもしれません、トホホ(ちびまる子ちゃん風)

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