私は今までマッチングアプリで2人の男性と会ったことがあります。今日はその1人、Kさんの話をします。
私は今から2年ほど前に、一時期マッチングアプリをやっていました。アプリを始めたのは第一に、新しい友だちがほしいというのがあったから。地元で主催される飲みイベントに参加する度にネットワークビジネスに誘われる日々にうんざりした私は(本当にすごい頻度で誘われる)、新た出会いをアプリに求めた。
「彼氏彼女関係なく、軽い気持ちでアプリ使ってる人も割と多いよ〜」という友達談をそのまま間に受けた。
まあさすがにこんな写真は載せなかったけど笑
ちなみに使ったアプリはペアーズ。
Kさんは市内で物流関係の仕事をしている、28歳の男性だった。海外とのやり取りを担当しているという彼は職場では英語を使用し、趣味は海外旅行、と、ヨーロッパ旅行を終えたばかりの私にとって、興味をそそられるプロフィールだった。
Kさん(イメージ)
Kさんと早速会う流れになった。
…
私:「では日曜日、お昼頃に会いましょう。どこか行きたいところはありますか?」
Kさん:「ぼくの家の近くの、コメダ珈琲はどうですか?最寄りの〇〇駅まで来ていただければ、僕が車でお迎えに行きますので、よろしければ一緒に行きましょう^ ^」
とKさんは提案してきた。
調べてみると、コメダ珈琲店はその駅から徒歩2分の距離にあった。たかがその距離を車でお迎えに上がるなんてどうかしてる。私は徒歩を避けてすぐに車に頼る怠惰な姿勢が嫌いだから、移動手段に関してはすぐムキになってしまう。というかそもそもKさんの家から近いんなら、Kさんこそ歩いてくるべきだのに。だのに。。
しかも〇〇駅は、私の最寄駅から2駅と、乗り継ぎ1回、さらに数駅離れた場所にあったので、電車移動の私にとって非常に都合が悪かった。
私:「〇〇駅はちょっと遠いですね。お互いの中間点だと、ちょうど□□駅あたりになりますね。」
Kさん:「そこは駐車が難しいので避けたいですね…ぼく車なので。フキさんの家の近くにいいカフェありますか?」
私:「では△△珈琲店はどうですか?私の家から近いんですが、とてもいいカフェですよ^ ^」
どうでも良くなった私は、私の家から80mのところにあるカフェを提案した。
Kさん:「△△珈琲か、いいですね、そこにしましょう!フキさんの家まで車でお迎えに行きましょうか?」
私:「お迎えは大丈夫です、ありがとうございます^ ^」
そうして当日、Kさんと会った。Kさんはなかなか小綺麗で、言葉遣いも丁寧で、好印象な男性だった。「さっき美容室行ったばかりで。」と少し照れながら彼は言った。そして色んな話をした。
彼の持ち出す話題は幅広く、面白かった。どこにお住まいですか?休みの日は何をしてますか?とかいう、パーソナリティの上澄みだけを延々とかき回しているだけの会話でなく、もう一段階深いところでお互いの話をすることができた。こんなことは飲み会ではまずないことだ。マッチングアプリ、なかなかいいなと思った。
彼との話が楽しかったのは覚えているのだけど、しかし肝心なところ、具体的に何を話していたかほとんど忘れてしまった(本当に思い出せない)。たしか、海外旅行のこと、神道のこと、中国語とか?あと、飛行場の滑走路がどうとか話していた、気がする。
いや、話した内容はもっといっぱいあった。ぼくの車は出そうと思えば時速300km出ますよ、とかも言ってた。パソコンとiPadのスペックの違いとか。あとそうだ、駅前のスパニッシュバルがどうのこうのとか。
でも彼と話すのは真面目に楽しかった。知識の幅が広い人だというのを感じた。興味の対象も割と合う。この人、なに話しても返してくれるな、すごいなー!と思った。それで私は素直に
「Kさんってすごく話題の幅が広いですね。こんな話までできるとは思いませんでした。」
と言った。そしたら彼は大変自慢げな顔になって、
「まぁ、フキさんが返してくれそうな話題を僕が意識して選んでるってところは、正直ありますけどねw」
と言った。とても嬉しそうなその顔を、私は今でも覚えている。
なんだかんだKさんとは2時間以上話していた。
「ありがとうございました!今日は楽しかったです!」
別れ際、Kさんは、
「あ、ぼくの車見ます?すぐそこに停めてあるんで。あ、よかったら家までお送りしますよ。」
と言ってきた。
「あ、いいですいいです、家近いんで。」
「じゃ、ちょっとだけでも見ていきませんか?すぐそこだし。せっかくだし、一目だけ。」
ここでようやく私は察した。Kさんは、しきりに私を車でお迎えすると行ったり、車のスペックを説明してくれたり、要するにKさんは私に車を自慢したいようだった。
しかしKさんにとって誤算だった。私は車のこととなると、いつも行き場のない恨みが湧いてしまう。というのも、私は現世に対する不満をすべて「車」に投影させてしまう癖があり、車、滅びろ、といつも思っている。車がいけない。世の中に起こる悪いことはだいたいは車が原因だ。
しかし私のその性格を知ってか知らずか(知るよしもない)、彼は最後の最後まで私に車を見せようと必死だった。ああ哀れかな、Kさんが車の自慢をすればするだけ、私の心はものすごい勢いで離れていくとゆーーのに。。
Kさんの車は、平べったく丸い形の、銀色の2人乗りの外車だった。座席シートが赤かった。彼はすごく自慢げに車の紹介をした。フォルムがどうだとか、エンジンがどうとか。
「へー、すごい、かっこいいですね。」
と私は言った。すると彼は、その日一番の喜びの笑みを浮かべ、さわやかに去っていった。いいんだ、私がいくら心の中で「車、死滅しろ」と思っていたとしても、「すごいですね」とだけ言えばいいから、この世にこれ以上シンプルなことはないと思う。
その夜、彼から連絡が来た。
「今日はありがとうございました!フキさんとの話はすごく楽しかったのです。ぜひまたお会いしたいです😊」
私はこう答えた。
「こちらこそ、ありがとうございました。私もKさんとの話は楽しかったです。今日はありがとうございました。」
するとこう返信が来た。
「今度、ぼくが紹介したスパニッシュバルに飲みに行きませんか?🍷来週末は空いているので、どうですか?😃」
…くれぐれも言っておくけれど、彼のことは別に嫌いじゃなかった。ちょっと自慢しいなところはあるけれど、彼と会ったとき、特別嫌な感じはしなかった。これは本当だ。話も楽しかった。お友達として、また何かの機会に会っておしゃべりするのは嫌と思わない。だけど、だからといって、それが男性と2人で夜にスパニッシュバルに行く理由には全然ならなかった。しかも、一回会っただけの人と。10年以来の男友だちとだって、夜に2人でスパニッシュバルには行かない。なんなら女の子とだって夜にスパニッシュバルには行かないし、昼にだって別にスパニッシュバルには行かない。残念だけど、私はそういう人で、これはそれだけの話だ。(てゆーかスパニッシュバルてなに)
だから私はこう答えた。
「そうですね、来週は空いてないんです。。でもスパニッシュバルはとても素敵そうなので、今度友達と行ってみたいと思います😊今日はありがとうございました。おやすみなさい。」
すると、10分後。彼から一通の返信が来た。
「ぼくは今日フキさんと会って、いい方だと思ったので、次回会うお誘いをしましたよ。メッセージのやり取りをして、会って、次回会うお誘いをしたまでです。
フキさんはマッチングアプリで彼氏を募集しているわけではないとおっしゃっていましたが、正直それは間違っています。ここは恋人を探す場所であり、お互いがその前提でお互いの時間を割き、お会いしているのですから、あなたのそのような使い方は、相手の方にも失礼だと思います。
ぼくは、一度確かにあなたをお誘いしました。けれど、あなたにこの先ぼくとやり取りを続ける気がないのでしたら、はっきりとそう言ってください。お互い時間の無駄です。」
????ん????
メッセージを読んで、その黒い文字面を眺め、しばらく考えて、思わず胸が高まってしまった(//////´-`//////)ポッ
なんだろう。。このエネルギーは。。これは「怒り」、なのか、、?彼をいま支配しているのは、、ドキドキ。。ああ、彼はもう完全に放棄しているのか?私とスパニッシュバルに行けるかもしれないという可能性を、すべて…?このメッセージを受け取って、私が、「あなたのそのような毅然とした態度を素敵と思いました。やっぱりスパニッシュバルに行きたいです。ぜひご一緒に行きましょう。来週、何曜日が都合がよろしいでしょうか?」となる可能性の方に賭けたのか、彼は。。。すべて己を曝け出して、正義を武装して、勝負に挑んでいるのだろうか、可能性を、。、可能性の方へ。。。。。考えるうちに、私はなんだか遥な気持ちになって、ぼぅっとしてしまった。
どきどきどきどき。
高鳴る胸の鼓動を抑え、返信メッセージを打った。
「そうですね、2度目お会いしたい気持ちは私にはありません。すみませんでした。」
すると彼はこう言った。
「そうですか、分かりました。今後あなたとやり取りすることは二度とないと思います。ぼくのラインは即刻削除してください。ぼくの方も不愉快なので、あなたをブロックさせていただきますね。思うのですが、あなたはペアーズをやるべきではありませんよ。他の人の時間を奪っています。今すぐ退会するべきだと思います。では。」
…いや、笑っちゃいけないよ。
私は真剣にしゅんとしてしまった。これはなんなんだ?よく分からない気持ちと、そして申し訳ない気持ちがどんどんと湧いてきた。ああ、私は彼のプライドに傷を付けてしまったかもしれない。。私がいけなかったのかなぁ。結構真剣に反省した。
断るときにハッキリと断らなかった私のやり方がいけなかったと思う。男女のマナーに反することだったかもしれない。そこは私も経験不足だからどうか許してほしい。次こういうことがあったら私はハッキリという。「あなたとスパニッシュバルに行く気はありません」って。でもさ、私だって「彼氏は募集してません」って最初から書いてたのにぃ。
彼との出会いは、結局、いい経験になったと思う。でもこの一件で私はマッチングアプリに対して急激に気持ちが冷め、究極的にめんどくさくなってしまった。次会う約束をしている人もいたけれど、その人には丁寧に説明し、今後やり取りはできない旨を伝えることにした。「ハッキリ」することが時に「優しさ」だとKさんは教えてくれた。
Rさん(イメージ)
「猫カフェ😸❗️いいですね🎶僕も行ってみたいと思っていました😄ちなみに、フキさんの好きな動物はなんですか⁉️」
「Rさん、すみません。今日別の方とアプリを通してお会いしたのですが、その際、少し不愉快な目に遭い、私自身アプリを通して誰かとお知り合いになることに不安を感じるようになってしまいました。誠に身勝手ではありますが、Rさんとお会いする約束もキャンセルしていただきたいです。ごめんなさい。短い間でしたが、Rさんとメッセージのやり取りができてよかったです。良い方と出会えるといいですね。では、さようなら。」
すると、こう返信が来た。
Rさん:「えっ、突然なんですか?」
Rさん:「どうしたんですか?」
Rさん:「一度約束したじゃないですか。あまりにも急すぎですよ。なんで僕のこと、会いもせずにそうやって判断するんですか?仮にも、一度他の人と会ってるんですよね?そしたら僕とも一度くらい会ってくれてもいいじゃないですか!!」
どきどきどきどき。
みんなで私をどきどきさせてくれる。
私:「すみません、もう決めたことなので、お会いすることはできません。ペアーズの方もアカウントを削除しました。今後誰とも会わないと思います。本当にごめんなさい。」
Rさん:「待ってくださいよ、ぼく一度フキさんに会ってみたいですよ!!プロフィールで見た、フキさんのあの髪型がすごく可愛くて、一度直接見てみたいですよ!!」
私:「すみません。申し訳ないですが、どうかご理解ください。」
Rさん:「猫カフェも行くのをとても楽しみにしてたんですよ!」
Rさん:「待ってくださいよ。こんなにやり取りしてフキさんのこと知ったんだから、一度でいいからお会いしたいですよ!!」
Rさん:「あ、まさかブロックしたんですか。そうやってすぐに拒絶するんですね。」
Rさん:「ブロックしたのは分かっているんですよ。フキさんってそういう人だったんですね。」
狂ってる人しかいないのか世界には。
おわりです。ちなみにメッセージは記憶の限り原文そのままです。
うん、なんというか、すごいくだらないエピソードを書いちゃったな。という気分。
フキさん、大変な目にあいましたね・・。わたしは30代女性でTinderで今の夫に会って、ひょんなことで結婚までしていまいました。わたしも一時期、Tinder以外にもたっくさんのアプリを使ってたっくさんの人に会いました。わたしは暇つぶしでたくさんの人に会っていましたので、なかには傷つけてしまったり、プライドをへしおってしまったこともあると思います。でも、人との出会いってそんな効率的にぱっとなんとかなるもんじゃなくて、お互い無駄な時間を大量に消費しながら、ある日かけがえのない人(パートナーでも友人でも)にきづけるのではないかと思います。
だから、フキさん申し訳なく思う必要ないと思いますよ。しゅんとしないでくださいね。
いつも、フキさんの活動を陰ながら応援しています。漫画も素敵です(*^^*)
akiさん、はじめまして!コメントありがとうございます^ ^
慰めていただいてありがとうございます笑
今では完全にネタなんですけど、当時は一瞬、考えさせられちゃいましたね。
人との絆は時間をかけて育まれていくものだと私も思います。
akiさんもそうやって暇つぶし感覚で使ってたんですね。
私も再開してみようかなぁ。
応援ありがとうございます!
いつでも感想・コメントお気軽にしてくださいね^ ^
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