私は小沢健二が好き。
好きになったきっかけは、私の大好きな漫画家・岡崎京子原作の映画『リバーズ・エッジ』の主題歌として彼の楽曲が使用されていたこと。
1996年、交通事故に遭い、事実上漫画家人生を絶たれた岡崎京子。岡崎京子と親友でもあった小沢健二は彼女を想って2018年、この主題歌『アルペジオ』を作った。
きんぴら-岡崎京子の「ヘルタースケルター」「リバーズ・エッジ」「チワワちゃん」-note
「これは友情だけでできております。岡崎京子さんという僕の友人で、本当に才能のある──。昔、漫画がすごかったって言われるけど、そうじゃない。今もすごいです。」
この“アルペジオ(きっと魔法のトンネルの先)”は、小沢健二と岡崎京子がお互いの表現に共鳴しあいながら駆け抜けた「あの頃」を経て、今もなお、それぞれが綴ってきた言葉(あるいは音楽、絵)が世代を超えて多くの人々に愛され、時折形を変えながら語り継がれていくという、誇らしい友情の歌だ。
rockinon.com「小沢健二と岡崎京子の90年代から続く盟友としての絆を“アルペジオ(きっと魔法のトンネルの先)”から読み解く」
私はこの歌が好き。小沢健二は歌手であり詩人でもあると思う。
幾千万も灯る都市の明かりが
生み出す闇に隠れた
汚れた川と 汚れた僕らと
ー小沢健二-アルペジオ(きっと魔法のトンネルの先)より
声に出して読みたくなるような歌。「都市の明かり」と「生み出す闇」の踏む韻。
駒場図書館を後に 君が絵を描く原宿へ行く
しばし君は「消費する僕」と「消費される僕」を からかう
「消費される僕」、なんて美しい言葉だろう…。あの時代、それぞれ漫画界と邦楽界を牽引していた彼らは、同じものを感じてたんだろうな。消費、経済、発展。それこそが美であり、夢であり、何かが置き去りにされているけどそれが何なのかもよく分からなかった時代。
「小沢君、インタビューとかでは何も本当のこといってないじゃない。」
そして小沢健二は彼女のことを友と呼ぶ。
この頃の僕は弱いから 手を握って 友よ 強く
でも魔法のトンネルの先 君と僕の心を愛す人がいる
本当だろうか?幻想だろうか? と思う
▼アルペジオ(きっと魔法のトンネルの先)ー小沢健二
日比谷公園の噴水が
春の空気に虹をかけ
「神は細部に宿る」って
君は遠くにいる僕に言う 僕は泣く
天国の情景のような詞だな、と聴くたびに思う。
『恋とマシンガン』『ラブリー』などラブソングで知られ、一時代の若者文化を牽引した小沢健二だけれど、その後活動を休止している。長い休止期間を経て活動を再開させたのは2017年のこと。私はにわかファンなので彼に詳しく語れないけれど、個人的に最近の曲が特に好き。大人になって2人の息子を持った彼が今歌っているのは、「宇宙」とか「生命」のこと。
フクロウの声が聞こえる
大きな魚が水音立てる
いつか本当と虚構が一緒にある世界へ
渦を巻く 宇宙の力
深く僕らを愛し 少し秘密を見せてくれる
好きになること 嫌うこと
轟音を上げるエンジンの音
いつか混沌と秩序が一緒にある世界へ!
ファンタジックで少し不思議なこの歌が表しているのは、愛とか恋を超えた壮大な力。宇宙。それは混沌と秩序があるところ。残酷さと慈悲が一緒にあるところ。
私は彼を唯一無二の表現者だと思う。
▼フクロウの声が聞こえるー小沢健二
息子たちのことも歌にする。
きみの肩 きみの頬に
戦士は宿ってるんだよ
骨の中に 時は降りつもる地層のように
思い出も 思い出せないことも
オッオ! 炎
生きてるこの時
小沢健二はこの歌の中で、「骨」とは「記憶」であり「言葉」だと言う。コンクリートの砂の流体をビルの鉄骨が支えるように、流れてゆく記憶を留めるものは“骨”だと言う。
多くのことは、似ている。
それは宇宙にも「骨」があるから?
だからわたしは小沢健二が好き。
『ストーリー』とは、長男7歳が現在進行形で創作している物語。
『ストーリー』は毎回お約束で、誰かの「ふわぁ〜よく寝た」、から始まる。
ゾンビと戦ってるときとか、どんな状況でも。
画像:roof top-小沢健二、ドラマ『珈琲いかがでしょう』オープニングテーマ『エル・フエゴ(ザ・炎)』より
気になった方ぜひ、彼の歌を聴いてみてください^_^
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